Chromeの開発に学ぶ、これからのウェブ運営のヒント

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以前にも「細かい改善を繰り返す」という投稿で書いたのですが、これからのウェブサイト運営は「細かい機能改善を頻繁に行う」ことが最も重要だと考えています。Chrome関連のニュースやブログ記事を見ていて、改めてそれが間違っていなかったと感じています。

ここ数年間Firefoxをメインのブラウザとして自宅でも職場でも使い続けてきたのですが、既に自宅ではChromeをメインのブラウザとして使い始めています。Firefoxへの愛着はありますが、Chromeにそれを上回る魅力が出てきた。Gmailの時もそうですが、欲しいと思っていた機能がすごいスピードで確実に実装されていく。知らぬまに数年使っていたYahoo!メールからGmailに移行していました。Chromeもまったく同じ感じで移行中です。

では、なぜGoogle Chromeに移行したのか?

作る側から見たポイントは「細かい機能改善をスピーディに行うこと」なのだと思います。
しかも、的確に。

そのこだわりがChromium Blogの「Release Early, Release Often」という記事に現れていて、これからのウェブサイトの運営方法の大きなヒントになるのではないかと考えています。

なんと、この記事でChromeの正式リリース(Stable Release)の開発サイクルを6週間に一度にすると発表しています。「Release Early, Release Often」は「すばやく、頻繁に」と訳すのが妥当でしょうか?サイクルを早くすることで、以下のようなことを達成したいと書いています:

  1. リリース・サイクルを短くして準備が整っているすばらしい機能をユーザにリリースする
  2. スケジュールの見通しを立てやすくしてプロジェクト範囲(スコープ)の決定を楽にする
  3. 「リリースに間に合わせなくてはならない」という開発者へのプレッシャーを軽減する

(原文: Chromium Blog: “Release Early, Release Often”

1番目で、長いリリース・サイクルの弊害を解決する。たとえば年に数回しかリリース・サイクルがない場合、リリースに間に合わなかった機能は次のサイクルまで数ヶ月以上も待たなくてはならない。ユーザがその機能を使えるまでにはそれ以上の時間がかかる。それを解決する。

2番目については、記事中に「良いプロジェクト・マネジメントを実現するため」と書いてありますが、これが、安定した良い開発をするためのポイントであり、より良い製品にしていくための秘訣なのではないでしょうか?確実に改善を行うためのマネジメント。さすがGoogleです。

そして、最後の3番目ではリリースに間に合わそうと無理をすることの弊害を解決する。リリースに間に合わすために開発者が残業したり、リリースを遅らせたり、ある特定の機能を無効にしたりして対処してきたそうです。それで製品の質が下がったり、開発者やユーザの不満が募ることも多いのではないでしょうか?悪循環を断ち切って、開発者をハッピーに、そして、最終的にはユーザをハッピーにする。

では、これをどうウェブサイト運営に当てはめるか?
最近のウェブサイトはアプリ化しているので、そのままそっくり当てはめられる部分も多いと思いますが、コンテンツ・サイトの場合でも、たとえば、一つのコンテンツを「機能」として考えたらどうでしょう?ソフトウェア開発のように、リリース・サイクルを作って「機能(コンテンツ)」を改善したり、新しい「機能(コンテンツ)」を追加していけるのではないでしょうか?

ウェブサイト運営者にとっての至極の喜びとは、使ってくれるユーザがハッピーになってくれることだと思います。
ウェブサイトを頻繁に改善して、ユーザをハッピーにして離さないサイト運営ができたら、どんなに楽しいことでしょう?

About the author

Rriverのステッカーが貼られたMacBookの向こうにいる自分のMemojiの似顔絵

「明日のウェブ制作に役立つアイディア」をテーマにこのブログを書いています。アメリカの大学を卒業後、ボストン近郊のウェブ制作会社に勤務。帰国後、東京のウェブ制作会社に勤務した後、ウェブ担当者として日英バイリンガルのサイト運営に携わる。詳しくはこちら

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