カフェでの体験に学ぶUXデザイン

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もっと手軽にユーザ体験を改善できる手法を確立したいと思って、試行錯誤する日々をおくっています。そんな昨今、カフェでユーザ体験(UX)に関わる興味深い出来事があったので、ケーススタディとして分析から改善策の提案までをシミュレートしてみたいと思います。

あるスペシャルティ・コーヒーのお店での出来事

先日、友人らと4人でスペシャルティ・コーヒーを扱うカフェに入ったら、美味しいコーヒーを飲みつつ思いがけず会話に没頭してしまい、気が付いたら2時間以上もお店で過ごしていました。食事を済ませてから入ったカフェだったので、コーヒーだけオーダーして、コーヒーとナイスな雰囲気のインテリアを楽しみながら、他の席も空いていたので、あまり時間を気にせずに過ごしていました。

すると、お店の方がテーブルにやって来て少し緊張した面持ちで「メニューにも書いてあるんですけど、1時間ごとにオーダーしていただくことになっていまして。。。」と、僕らに告げました。

ちょっと呆気に取られて「あ、そうでしたか。すみませんでした。」と、謝ってはみたものの、なんだか少し違和感が残りました。時計を見たら2時間を過ぎていました。そろそろ帰ろうと思っていたし、お腹がいっぱいでコーヒーをおかわりする感じでもなかったので、その場で追加オーダーはしませんでした。その代わりに、帰り際、申し訳ない思いでコーヒー豆を買って帰りました。

コーヒーは美味しいし雰囲気も文句なしなのに、お店の人のあの一言で、そこまでは良かったユーザ体験が崩れてしまいました。あと10分待ってくれていたら、ハッピーなユーザ体験で終われただけに、とても残念です。

このカフェでのユーザ体験の分析

今回のできごとから何か学べないか、また、どうにかこのユーザ体験を改善する手立てはないか考えてみました。

まずは、今回のカフェでの体験を振り返ってステップにまとめてみます。

食後のコーヒー(きっかけ)

食事が終わり、話の続きをするためにカフェを探す。

美味しいコーヒーが飲みたい(動機・検索)

友人も僕もコーヒーが好きなので、どうせ飲むなら美味しいコーヒーが飲みたい。スマホで検索して、チェーン店ではないカフェを探す。食事をしたお店からは少し歩くが、美味しいコーヒーが飲めそうなお店を選択した。

ポイント1

この場合のユーザが求めているのは「美味しいコーヒー」と「楽しい会話」の両方で、どちらが欠けても物足りない状態です。

初めて訪れるお店に到着(第一印象・認知)

スマホを片手に初めて行くお店にたどり着くと、コーヒーのよい香りがする落ち着いた雰囲気の良い感じのお店。コーヒーを楽しみながら、ゆっくりくつろげそうな印象を受けて席に着く。メニューにあるスペシャルティ・コーヒーの説明を読んで出てくるコーヒーの味に思いをはせる。ちなみに、スペシャルティ・コーヒーということもあって値段は少し高め。

コーヒーとお店の雰囲気を堪能(コア体験)

美味しいコーヒーとお店の良い雰囲気に後押しされ、時間を忘れて会話に没頭する。気がついたら2時間近く過ぎていた。

ポイント2

ここまでは、ユーザが求めていた「美味しいコーヒー」と「楽しい会話」の両方の欲求が期待以上に満たされています。

店員から注意を受ける(ペインポイント)

お店に入って2時間を過ぎた頃に、店員の方から「メニューにも書いてあるんですけど、1時間ごとにオーダーしていただくことになっていまして。。。」と注意を受ける。ちなみに、入店の際にこのルールの説明はなかった。

違和感の残る体験(結果)

メニューに書いてあったというお店のルールには気づかなかったし、お店に入った時に注意もなかった。特に混雑もしていなかったし、そろそろ帰るつもりだったので、結果、違和感の残る思いをしてカフェを出た。

共有したくない体験(リピート・共有)

気まずい思いをしていなければ、再訪の可能性も高く、友人・知人にソーシャルメディアなどで「◯◯近辺のおすすめなカフェ」としてシェアしていたかもしれない。

ポイント3

それまでの素晴らしい体験があったにもかかわらず、UX全体でみるとユーザにネガティブな印象を残しています。そのため、ソーシャルでの良い口コミの機会もなくなります。

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解決策はミスコミュニケーションの解消にあり!

「コーヒーと会話を堪能する」というコア体験までは素晴らしかったのに、その後のちょっとしたできごとで全体の体験がネガティブな印象に塗り替えられてしまいました。最終的にはお店にも客の僕らにも悔いの残る体験になってしまいました。お互いにハッピーになれる、もう少し上手な方法はなかったのでしょうか?

最近、さまざまな不満や問題はミスコミュニケーションから生まれることが多いと感じています。お互いに勝手に思い込んで相手のことを決めつけてしまい間違ったコミュニケーションをとってしまう。今回の件も、お店と客のミスコミュニケーションが原因だと思っています。

お店の方からしたら「メニューに注意が書いてあるのに、なんでこの客はルールを守らないんだ?」といぶかしく思っていたのかもしれません。でも、客の僕らからしたら、メニューに書いてあると言われたルールには気づかなかったし、入店の際に説明もなかったので、不当に叱られた気分になりました。コーヒー1杯だけでねばろう、長居してやろうと思っていたわけでもなく、たまたまそういう結果になっただけなのに、正直不満が残りました。

僕らもお店の事情がわからないし、お店も僕らがどのような思いでこのカフェを訪れたのか知りません。ここに、お互いの事情を知らないがために起こったミスコミュニケーションがあったわけですね。

では、どうすればこの体験を改善できるでしょうか?
いくつか考えられることがあります。

1. 客の行動を決めつけない

たとえば、お店の方が客に注意を促す際に「すみません。大変申し訳ないのですが、1時間ごとにオーダーをいただくことになっていまして。。。」というふうに、メニューの注意書きを読んでいることを前提としない話し方ができていたらどうでしょうか?

少なくとも「そんなルールは聞いてない」というネガティブな反応は避けられますし、大半の客の気分を損ねずにお互い不満を残すことなく体験を終わらせることができるはずです。お客に近い目線で、押し付けではなく、あくまでお店の事情を客に理解してもらうというスタンスでコミュニケーションができれば、客にも受け入れられやすいのではないでしょうか?

少しの差ではありますが、結果は大きく変わると思います。

2. コミュニケーションのタイミングを考える

入店の際にルールの説明をすることもできたと思います。
1時間ごとに1オーダーというルールの説明がメニューに書いてあっても、客が必ずそれを読むとは考えにくいです。載せ方にもよりますが、読まない人の方が多いのではないでしょうか?事実、僕ら4人は誰も気づきませんでした。

であれば、入店の際に「1時間ごとに1オーダーいただくことになっているのですがよろしいでしょうか?」と、しっかり伝えるべきです。客も、そのルールが嫌だったらその時点でお店を去ることができます。客にとってもあとで気まずい思いをするなら最初から言われる方が気持ちが良いはずです。

3. 「混雑時には」という条件をつける

さらにもう一つ。このルールに「混雑時には」という条件をつけたらどうでしょうか?
たぶん、多くのカフェやレストランでは、「土日や混雑時には」という条件でこういったルールを実施していると思います。

客目線で考えると、混んでもいないのに、なぜ?と思ってしまいます。言うなれば「お店の独りよがりなルール」なわけです。顧客単価を上げたいのであれば、客の体験を損ねるルールではなく他にもっと魅力的な施策を考えるべきです。回転率を上げるのが目的なら、それに見合った空間デザインやユーザ体験の構築をするべきだと思います。

まとめ

カフェの経営は簡単ではないでしょうし、面倒な客を相手にするのは大変です。カフェを経営したことのない素人意見ではありますが、客の気持ちはわかります。スペシャルティ・コーヒー専門のカフェをオープンするくらいですから、店主がかなりのこだわりを持ったお店だということもわかります。でも、一度、顧客目線でユーザ体験を俯瞰してみたら、お店の方にも、客にも、より気持ちの良いカフェ体験を提供できると思います。ウェブサイトやメニュー、そして、店員を通じてのコミュニケーションの方法を、ほんの少し工夫するだけで大きな差が生まれます。

また、ソーシャルメディアが大きな力を持つ昨今、数百円の追加オーダーよりも、顧客一人一人の体験を高め顧客満足度を上げることにフォーカスしたほうが、最終的には売り上げにも大きく貢献するのではないでしょうか?

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