お盆だし「スマホ全盛時代のウェブのこれから」について考えてみた ー 能動的な検索が必要とされる限りウェブは死なない

Advertisement

ここ最近、海外でも日本でも「ウェブの将来は明るくない」という話題をちらほら目にするので、1990年代後半からウェブ制作をずっとやっている自分としては「ウェブ制作という仕事に未来はないのかぁ。そうなのかぁ。。。」と、少し憂鬱な気持ちになっています。

別にそれらの話を鵜呑みにして同意しているわけではないんですけどね。

ということで、これを機に頭の中でモヤモヤしていることを、一度整理して書き留めておこうと思います。こういう未来予想的な内容は10年後に読み返してみたら面白そうですしね。

10年後の自分: 「全然ちがってたっ!恥。。。」みたいな感じでw

ウェブは「もう、ダメ。。。」なのか?

「ウェブはもうあッか〜ん」というプレッシャーを感じているのは僕だけですかね?

僕が感じている風潮を、大雑把に、ちょっと大げさにまとめてみると以下のような感じです:

  1. ついにスマホ全盛期が到来!これからは、モバイルファーストだ!とにかくスマホだ!
  2. スマホでは断然アプリっしょ。ウェブは使わないし、検索もしない。
  3. モバイル・ウェブは遅い!アプリと同等の機能は実装できないし。まだウェブで消耗してるの?

おおげさに脚色して書きましたが、ウェブに散見するいくつか記事やそれに対する反応を見ていると、こんな雰囲気があるというのも、あながち間違っていない気がします。もちろん、逆の論調もあるんですけどね。

しかし、上の1、2、3について、自分で書いておいて言うのもなんですが。。。
やっぱり、なんかモヤモヤするとこありますね。

ついにスマホ全盛期が到来!

2、3日前、運営に携わっているウェブサイトのアクセス解析を見ていたら、ついにモバイルからのアクセスがデスクトップからのアクセスを抜いていました。業界やウェブサイトの種類によってこの割合は大きく異なるとは思いますが、スマホ全盛期がきて、ようやくウェブ制作に対する考え方を180度転換して、モバイル・ファーストで考えて成り立つ時代になりつつあるのだと思います。

家ではスマホオンリーのユーザも増えるでしょうし。
思考の中心にスマホを持ってくる、そして、パソコンをあまり使っていなかったユーザにも優しく対応しなくてはならない時代になりつつある。

こればっかりは、逆らえない自然の摂理みたいなもので、多くの場合、主戦場はデスクトップからスマホに移行した、と考えて間違いないですよね。

ここに異論はありません。

ただしデスクトップが消えるわけではない

ただし、デスクトップが消えるかっていうと、まったくそんなこともなくて。
職場では依然としてデスクトップPCを使うでしょうし、そこそこの量のテキスト入力が必要な場合や、大きい画面に適した情報(テーブルや図・データなど)の閲覧にはノートやデスクトップPC、さらにはタブレット端末のほうが適している場合もあるので、それらが消えて無くなることはないでしょう。

スマホでは断然アプリっしょ

たしかに、ネイティブ・アプリの方がサクサク動くし、機能もUIもウェブのそれより充実している場合もあります(少なくとも現時点では)。しかし、総合的にUXを考えると、すべてのシチュエーションでアプリが適しているかというと、そんなこともない気がします。

ウェブの最大の強み「リンク」

ウェブには「リンク」という、現時点ではアプリにはない大きな強みがあります。

Google I/O 2015の「The Next Generation Mobile Web」というセッションでも「リンク」の偉大さが語られています。

人間が使うモバイルアプリは平均12から20と言われている。しかし一方で、アクセスされるWebサイトは、一ヶ月あたり100ドメイン以上だ。それはWebが、リンクを使って簡単にアクセスできるからだ。

これからのモバイル向けWeb制作 The Next Generation Mobile Web | HTML5Experts.jp

ウェブの一つの大きな特徴である「リンク」は偉大なもので、ウェブのユーザへのリーチの絶大さを考えると一概に「スマホでは断然アプリっしょ」とは言えないと思うわけです。

日本最大のレシピサイトのcookpadを例に、ある特定の情報を探す際に使うのが、アプリなのかウェブなのか、もう少し掘り下げて考えてみます。

クックパッドはアプリで見るよね

実は、レシピを探すときはiPadのクックパッドのアプリを使って探すことが多いので(たまに料理するんです)、ある特定の情報(この場合はレシピ)を「検索」する場合は、ググるより、ある特定のアプリを選択して使うことが多くなり、「なんでもありのウェブ検索」と「ある情報に特化した情報のアプリ内検索」を使い分ける時代が来ているとも思っています。

たとえば、レシピならクックパッド、旅情報ならTripAdvisor、日用品を探すならAmazonといったように。情報を探す際のはじめの行動が、ウェブ検索ではなくて、それぞれに特化したアプリの起動からの検索になることも考えられます。SEOで検索上位を狙うのではなく、スマホのホーム画面の固定位置を狙わなくてはならない時代ですね。

そう考えると、スマホ普及率が50%を超えた日本でも、cookdpadのようなサービスの場合、年々アプリからのアクセスが増えているのかと思っていました。

実はスマホのブラウザからのアクセスが多かった

ところが、クックパッドの「2015年12月期第2四半期 決算説明会資料」 を見ると、2015年6月でスマホのブラウザでcookpadにアクセスするユーザが3030万人なのに対し、アプリからのアクセスは915万人と、大幅にブラウザからのアクセスが多いことがわかります。

いやいや、とはいえ、直近ではアプリの割合が伸びてるんでしょ?

と、思うかもしれません。。。

ところが、そんなことはなくて2013年7月の531万人(スマートフォンのブラウザ)と383万人(アプリ)と比べても、スマホのブラウザからアクセスするユーザ数のほうが大幅に増加しています。

能動的な情報の発見にはウェブ検索が1番

これはあくまで推測でしかありませんが、クックパッドのような名の知れたブランドのサービスでさえ、アクセスはアプリからではなくウェブからのほうが多いというのは、検索経由の流入の多さを物語っているのだと思います。

デスクトップPCの使用頻度が激減して、ユーザが使用するメインのデバイスがスマホになったとしても、人々が情報を必要とすることに変わりはありません。そして、現時点では、人々がそれらのデバイスを使って能動的に情報を探すには、なんらかの形で「検索」をする方法しか考えられていません。

現時点では人々が能動的に情報を探す手段として、一番手っ取り早く、便利で、使用頻度が高いのはググることだと言い切って良いのではないでしょうか?

スマホでの検索は増えている

さらに、スマホでの検索についても興味深いデータがWeb担当者Forum で紹介されています。

Yahoo! JAPANによる調査(2013年11月、2014年11月データ比較)によると、スマホでの検索数は増えているそうです。

2013年11月と2014年11月のユーザー1人あたりのデバイス別平均検索数を年代別に比較してみると、すべての年代でスマホでの検索数は上昇している。

スマホでは検索しないという話は、あくまで個人的な意見レベルの話のようです。

また、GoogleもAdwordsのブログ記事 でモバイル端末での検索について以下のように発表していています。

In fact, more Google searches take place on mobile devices than on computers in 10 countries including the US and Japan.

【意訳】

事実、アメリカと日本を含む10カ国で、より多くのGoogle検索がコンピューターよりもモバイル端末で行われている

「mobile devices」も「computers」ちゃうんか!というツッコミはさておき。。。

いつでもどこでも気軽に検索できるスマホだからこそ、TVを見ていて気になったちょっとした内容の検索から、本当に生活に必要な本気の検索まで、ユーザ一人当たりの検索回数が増える可能性だって大いにあります(あくまで個人レベルの考察ですけど)。

OK Google!

「OK Google」をPRするAndroidのCM効果もあってか、僕はNexus 5で音声検索を使って頻繁に検索を行うようになりました。スマホに話しかけることにも以前より抵抗を感じなくなりましたし。

スマホでの検索数が増えているのなら、なんらかの手段で検索(文字入力、音声入力、QRや画像認識など)して、最終的にはブラウザを経由してウェブにたどり着いているはずです。情報のユーザへのリーチは、アプリとウェブで比較すると、依然、検索からの流入を見込めるウェブのほうが圧倒的に大きいと言って良さそうです。

ソーシャル流入のほうが増えてない?

でも、最近ではTwitterやFacebook、さらにはLINEなどのメッセンジャーアプリ、それから数多くあるニュースアプリから情報を得ることが多いよね?という見方もあるかもしれません。しかし、多くのSNSやニュースアプリで得る情報は、そこに流れている情報をキャッチする行為であり、あくまで受動的なものです。自分がほしい情報を能動的に探すウェブ検索とは異なる行為です。

Facebookがウェブに取って代わってもおかしくない?

では、たとえばFacebookというエコシステムにウェブのように情報が蓄積されていたとしたらどうでしょう?実際にFacebook内にベージを作ることも可能ですし、多くの企業がFacebook上にコンテンツを載せています。また、情報の性質や形は異なりますが、個人の情報発信もFacebook上で頻繁に行われています。

もし、それらのコンテンツがマーケティングのためのみでなく、ユーザにとって真に有用な情報になっていて、Googleに勝る検索体験を提供できたとすれば、ユーザはFacebook内で能動的な検索を完結できることになります。

Facebookがそれを実現できれば、ウェブに取って代わることも可能なのかもしれません。

しかし、いまの時点では、そういった流れは見られませんし、Facebookが目指すのが、ウェブに取って代わることというのも聞いたことがありません。Facebook上での検索とウェブ検索は、現時点では異なる目的で行われる違った行為と言えるでしょう。

さて、トラフィックの流入についてはウェブが強いというのがわかりました。
けど、モバイル・ウェブのパフォーマンスの悪さが足を引っ張っていないでしょうか?

モバイル・ウェブは遅い

たしかに、その通りです。

少なくとも現時点では、同じ労力と時間をかけて制作した場合、アプリで提供できる操作性にウェブは到底太刀打ちできないと思います。

しかし、ウェブのパフォーマンスに改善の余地がないわけではないですし、ウェブには「リンク」という最大の武器があり、それゆえにウェブのユーザへのリーチはアプリに圧倒的に勝ります。

先ほど紹介したGoogle I/O 2015の「The Next Generation Mobile Web」セッションの話 では、モバイル・ウェブのこれからについての考察を以下の3つの分野に分けて、わかりやすくまとめられています。

  1. ユーザへのリーチ
  2. パフォーマンス
  3. エンゲージメント

パフォーマンスとエンゲージメントについては、モバイル・ウェブがアプリにこれから追いついていかなければならない分野ですが、この記事を読むとアプリに引けを取らない体験をユーザに提供できる日は、そう遠くはないことがわかります。

少なくとも「Chromeが入っているAndroidならねw(iPhoneのCM風)」

最後に

いまはアプリ開発がナウ(死語w)ですが、近い将来「まだアプリ開発で消耗してるの?」なんて言われてしまう時代が来ないとも限りません。

とはいえ、近い将来ウェブはアプリの機能に追いつき、アプリはウェブの最大の強みである「リンク」を手にするわけですね(「最後にPart 2」参照)。ウェブとアプリの力が均衡したときに、ゼロサムゲームになってしまうのか、それとも良いとこ取りをして共存しながら相乗効果を生む世界になるのか、そのあたりが見所です。

個人的には、良いとこ取りのハイブリッドで相乗効果を生む、ウェブとアプリが仲良く共存する世界を望んでいます。ビデオテープのβみたいに、消えてなくなる技術もありましたけど。。。汗

最後にPart 2: アプリでの「リンク」機能のこれからについて捕捉

ウェブは「リンク」という圧倒的な強みを持っていると書きましたが、アプリの世界でもDeeplink App Indexing といったアプリ内コンテンツへのリンク機能が準備されていて、ウェブ検索からアプリ内の情報に直接リンクさせることもできるようになってきています。

さらに、Android Mで実装予定の「Now on tap 」ではアプリ内での行動に関連性が高いアプリ(での行動)やウェブサイトのサジェストを表示してくれるようになるそうです。

では、良いお盆休みを〜

About the author

Rriverの竜(りょう)です。「明日のウェブ制作に役立つアイディア」をテーマにこのブログを書いています。アメリカの大学を卒業後、東海岸のボストン近郊でウェブ制作を開始。帰国後、東京のウェブ制作会社に勤務。現在は組織のウェブ担当者として日英バイリンガルウェブサイトの運営に携わっています。より詳しくはこちら

記事へのコメントはもちろん、執筆・翻訳、レスポンシブなウェブサイト制作、コラボのご相談などもTwitter @rriver またはFacebook でお気軽にご連絡ください。

“お盆だし「スマホ全盛時代のウェブのこれから」について考えてみた ー 能動的な検索が必要とされる限りウェブは死なない” への1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です