スマートウォッチUXで知っておきたい5つのキモ

Advertisement

メインのスマホをiPhoneからAndroidにしてから約8ヶ月、そして、Android版のスマートウォッチ「ZenWatch 」を使い始めてから約半年が経ちました。ここ数年は腕時計なんてほとんどしなかったのですが、スマートウォッチやウェラブル端末の可能性を自ら体感するために、最近は、ほぼ毎日身につけて生活しています。実際に自分で体験してみないとわからないことも多いですからね。

毎日使ってみてスマートウォッチのUXで「この辺りがキモになる」という考えがまとまってきたので、それらの「キモ」を5つにまとめてみました。

ぶっちゃけ、半年使わなくても気づいてたんですけどね。長く使うことで変わるのか確認してからまとめてみました。スマートウォッチが一般に普及するためには、以下の5つを腹落ちするまで理解し、より良いUXを提供する必要があると思います。(あとは金額か…)

  1. 通知は他人に見られることを考慮する
  2. コンパニオンデバイスでは機能しない
  3. ちょうどいい情報量を見極める
  4. ジェスチャー操作は意外に難しい
  5. 腕に固定されているというUX

通知の方法などが異なるApple Watchには当てはまらない部分もあるかもしれませんが、共通するものもあると思います。スマートウォッチのUXを考える際に参考になれば幸いです。

1. 通知は他人に見られることを考慮する

ZenWatchを使ってみて、まずはじめに便利だなと思ったのは通知機能です。スマートウォッチのレビューを見ると、多くの方がその点について書かれています。スマホを取り出さなくても、ちょっとしたメッセージやアプリからの通知を時計をチラ見するだけで確認できるのはやっぱり便利です。

ただ、便利な反面、常に身につけて使う場合に気になる点がありました。
それは腕時計だと通知が他人にも丸見えだということです。

Apple Watchは基本的に使ってないときには画面がオフになっているようですが、ZenWatchには「常に画面表示」という機能があって、これをオンにしておくと省エネ状態で常に時計表示がされた状態になります。

Apple Watchのレビュー記事 でもいくつか見かけました が、なにか動作をしないと時計が見られないのは不便です。なので、僕はこの「常に画面表示」をオンにして使っているのですが、これが曲者で、時計表示だけでなく通知の表示も常にオンになってしまいます。

電車や歯医者でちょっと恥ずかしいUX

たとえば、電車に乗っている時に通知が来ると、その通知が表示されたままになり隣に座っている人や向かいに座っている人、または前に立っている人にウォッチの通知が見える状態が続きます。通知が来ると時計が一瞬光るので周りの人も気になるのか、目線がウォッチに行くのを何度も見ました。あと、先日、歯医者で治療を受けてるときに通知が来たのですが、身動きが取れずウォッチにアホな通知が表示されてないか少し心配になりましたw

スマホならポケットに入っていれば見えませんし、すぐに隠すこともできます。しかし、腕時計の場合はウォッチフェイスを隠すのは結構大げさな仕草ですし、違和感のある体勢になります。

Android Wearでは手首のジェスチャーで操作ができる「手首でスクロール」機能で通知を隠すこともできますが、結構大げさな動作が必要です(これについては後で詳しく書いてます)。

ちょっと恥ずかしい曲名表示

もう一つ、よくある状況を考えてみます。たとえば、スマホで西野カナの「好き」という曲を聞いているとします(LINE MusicのCMネタ にも使われてましたね。小松菜奈の魔性の笑顔にやられそうw)。そうすると、40を越えたオヤジの腕に曲がかかっている数分程度の間ずっと「好き」と表示されるわけです。電車で隣のオヤジの時計に「好き」と表示されてたらモヤっとしますよね。

普段、曲名を意識して音楽を聞いているわけではないので、自分が知らないうちに恥ずかしい曲名が腕に表示されていることも十分あるわけですね。たいしたことではないですが、ちょっとだけ恥ずかしい。

よりパーソナルな端末

こういった「ちょっと恥ずかしい」かもしれないユーザ体験をスマートウォッチのアプリ開発では考慮しないと、ユーザには受け入れられないと感じています。スマートウォッチはスマホよりも身体に近い、よりパーソナルな端末です。少し大げさに言うと、スマートウォッチは自分の体の一部となり、顔の表情や身振り手振りのジェスチャーと同様の機能を担います。スマートウォッチの通知は、第三者から見て、それを身につけている人の「表情」であり「身振り手振り」の一部になり得るわけです。

それゆえに、スマートウォッチのUXでは、ユーザ体験をより細かい一瞬に切り分けて考慮する必要があります。通知の表示の仕方(たとえば、3秒表示したらフェイドアウトするとか)、表示する内容などは、そういった瞬間のUXを考慮して設計するべきです。コンテキストを探知して、自動で通知内容を調整するとか、ユーザが自分の好みに細かく設定を変更する必要性がありそうです。また、初回体験のシンプルさと、使いながら学んでいくオンボーディングの体験設計も大切になりそうです。

なにを、どの分量で、どの程度の時間表示させるかは、情報の特性や一連のUXによって変わると思います。その辺を考えて適度な通知ができると、ユーザにとってはグッとくる、またサブリミナルにでもそのアプリへの好感度が増しロイヤリティをアップするUXになるのではないでしょうか?

まずはOSにその辺をコントロールするための機能が必要になるので、今後のwatchOSの動向を注視したいですね。

2. コンパニオンデバイスでは機能しない

いまのところ、スマートウォッチはスマホと一緒に使うのが必須なコンパニオンデバイスです。しかし、それでは機能しないというのが実感です。たとえば、ユーザとしてはスマートウォッチだけで完結したいことを「スマホで開く」と表示されたりすると「だったらはじめからスマホ使うよ」と、心でつぶやきたくなります。

スマートウォッチ単体でも動くけど、オプションとしてスマホでも開けるというUXをベースに考えないとユーザには受け入れられないでしょう。

たとえば、スマートウォッチをつけてランニングに出かける場合、できればスマホは持って行きたくない。ウォッチのみでGPSやネットに接続して、Bluetoothヘッドフォンで音楽を聞きながら走りたいわけです。

あと、スマホを置いてトイレに行く際など、いちいちウォッチがオフライン状態になるのも面倒です。スマホをいじらずに済むからウォッチをしてるのに、ウォッチを使うには常にスマホを持っていなければならないというのは、UX的に大きな課題です。

OSや端末の進化で解決される?

AndroidではWiFi機能のついたスマートウォッチが標準になりそうですし、watchOS 2でもApple Watch上でアプリをネイティブで動かしたり、既知のWiFiホットスポットへのアクセス が可能になるようです。これが実現すれば今のUXよりはましになるかもしれません。

しかし、スマートウォッチ単体でいつでもどこでもネット接続できて、スマホとも連携できる状態じゃないと本当の意味での「スマートな時計」にはならないと思います。

Virtual SIMでウエラブルの常時接続を解決?

Appleが特許を取得して開発しているVirtual SIMやGSMアソシエーションのeSIM(embedded SIM)という技術では、SIMカードがソフトウェア化されて物理的なカードが必要なくなります(参考:「Apple SIMの衝撃 キャリア主体のスマホ販売が激変する」 )。近い将来、これをウエラブル端末に導入できればスマートウォッチでネットの常時接続が可能です。

1人のユーザが複数の端末を持つ時代、SIMカードを何枚も購入して端末ごとに入れて使うのは非現実的ですし、通信キャリアのビジネスも制限していると思います。IoTですべてのものがネットに接続されようとしている近未来、Virtual SIMやeSIMで1人のユーザが1つの契約で複数の端末でネットに接続できなければ、スマートウォッチなどのウエラブル端末の将来は見えてこないように思います。

3. ちょうどいい情報量を見極める

スマートウォッチで消費しやすい情報量はどの程度なのか?迷うところです。小さい画面でも、個人的には結構長いテキストでも読めると思うのですが、その分、スクロールやその他の操作が増えてしまい、面倒といえば面倒です。では、スマートウォッチで見たい情報量をテキストに換算すると、いったいどの程度のものになるのでしょうか?現状、以下の2段階で分類すると良いと思っています。

チラッと見て確認できる(グランサブルな)1文程度のテキスト

通知にはぴったりで、チラッとみて次の行動が決められる程度の情報量です。もっと見たいのか、後で詳しく見るのか、または、アーカイブしたり削除したりなどのアクションを起こすのか。それくらいの判断をするための情報量と内容が欲しいですね。

2〜3画面分程度のテキスト

スマートウォッチのような小さい画面でも適切な文字サイズで表示されていれば、相当量の文字をストレスなく消費できます。大切なのは、その瞬間(たぶん5〜10秒程度)で消費可能な文字量であることです。

半年ほど使い続けてみて、その分量はスマートウォッチの2〜3画面程度がちょうど良いと感じています。それくらいなら、ポケットからスマホを取り出すほどでもないと思える情報量です。

LINE Newsの通知がうまい

LINE Newsの通知が良くできていて、ちょうどいい情報量で、ちょうどいいUXになっています。さすがですね。「LINEの方たちはUXを理解してるな〜」と、思える情報量と提供方法をしています。

LINE Newsの通知では、まずトップニュースが1件表示されます。そして、スライドすると「もっと読む」ボタンが表示され、それをタップすると11件の記事が読み込まれ、それぞれの記事をまずは1画面で、さらにタップすると3〜4画面程度の分量で読むことができます。

ウォッチの画面上で見るニュースとしては、グランサブルで面白そうなニュースの概要をチェックできるちょうどよい情報量です。より深く読みたければスマホで見ればよいと思えるギリギリのラインをおさえています。LINEだけに。。。(失礼しました)

※ちなみに、「もっと読む」をタップしなくてもニュース一覧をデフォルトで読み込むオプションがあっても良いと思いました。あるのかな?

4. ジェスチャー操作は意外に難しい

アップルウォッチではまだみたい ですが、Androidでは手首をクルっと回すとウォッチの操作ができる「手首でスクロール」ジェスチャー機能がついています(上の動画参照)。

これはこれですごく便利ですが、このジェスチャーの動作が結構派手にやらないと機能しません。たとえば、満員電車の中では、かなり目立つ動作なのでシャイな方には勇気のいる行為です。恥ずかしい通知を隠すのか、ちょっと怪しまれそうな動作をするのか。選択に悩んでしまう人もいるかもしれません。まぁ、自意識過剰かもしれませんけどね。

たとえば、iPhoneのシェイクで取り消し(アンドゥ)機能 も、結構大きな動作が必要で電車の中だと難しいですよね?それと似た感じです。

「手首でスクロール」などのスマートウォッチでのジェスチャー操作は、道を歩いているときなど、オープンスペースでの使用には問題ないですが、人と人の距離が近い空間では結構ハードルが高いということを認識しておく必要があります。将来的にジェスチャー操作機能がアプリに解放された際、そういうUXがあるというのを考慮したうえで、アプリの操作にジェスチャーを適用したり、通知する情報やタイミング、また、表示秒数などを設計するべきです。

5. 腕に固定されているというUX

4番目とちょっとかぶる内容ですけど。。。

スマートウォッチの場合、手首に付けるので両手は空きます。しかし、ウォッチの操作をしようと思うと両手が空いていないと簡単にはできません

たとえば、スタバでコーヒーを買ってウォッチをした腕で受け取ったとします。
この状態でウォッチの画面を触ろうとしてください。

コーヒーがこぼれちゃいますよね?
では、ウォッチをしていない方の手でコーヒーを受け取ったらどうでしょう?

コーヒーを持ちながらウォッチの画面をなぞるのは至難のワザですよね。

これは、たとえば大きめの雑誌を持っている場合も同じで、持っている雑誌をくるっと90度程度回さないとウォッチの画面を見られません。ある程度のスペースがないと雑誌が周りのものや人にぶつかってしまう可能性があります。

スマホだと片手で取り出して、片手で操作できる。片手でコーヒーを持ちながら、または片手で電車の吊り革を持ちながら、さくさくメールに返信したりブログ書いたりできるんですよね。

ジェスチャー操作なら片腕でできますが、現段階ではジェスチャーで操作できることは多くありません。また、手首でスクロールのような操作は、意外と狭いスペースではやりにくいです。

スマートウォッチは操作できる状況が限られる

スマートウォッチは画面を見られても操作できないシチュエーションがあるということを、UXを構築するうえでは配慮すべきでしょう。特に通知のUXにはこういったことを考慮して、何を、どのタイミングで、どの程度の期間表示させるかなど、製品やサービスに沿ったUXに最適なものを細かく考える必要がありそうです。

最後に

現段階でスマートウォッチでできることは、全体を通して物足りない感じが否めません。それは、OSやハードの制限、スマートウォッチという未開拓のプラットフォームでのアプリ開発の経験不足など、さまざまな原因があります。しかし、現段階でもそこそこ良く出来ていて、うっすらとですけど未来の可能性を感じないわけでもありません。回りくどい言い方ですけど。笑

カギとなるのは、まずはスマートウォッチへの考え方を根本から変えることです。小さい画面でできることは少ないと考えるのではなく、小さい画面でどうやって求められる情報をうまく届けられるかを考えたほうがユーザには喜んでもらえます。便利だったら使われますし、口コミで広まります。「これ、結構いいよ」というUXさえ提供できれば、必ずユーザは来てくれます。「If you build it… he will come.」たぶん。笑

画面サイズの制限や使える機能ありきでなく、UXファーストで考える。それがスマートウォッチのキャズム超えへの第一歩なのだと思います。

そういえば、新しいApple Watchの発表もありましたね。Hermesのカフ 、かっこいい。値段もかっこいいけど(188,000円で、しかも税別。税込20万円越え!)

About the author

Rriverの竜(りょう)です。「明日のウェブ制作に役立つアイディア」をテーマにこのブログを書いています。アメリカの大学を卒業後、東海岸のボストン近郊でウェブ制作を開始。帰国後、東京のウェブ制作会社に勤務。現在は組織のウェブ担当者として日英バイリンガルウェブサイトの運営に携わっています。より詳しくはこちら

記事へのコメントはもちろん、執筆・翻訳、レスポンシブなウェブサイト制作、コラボのご相談などもTwitter @rriver またはFacebook でお気軽にご連絡ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です