CSS Nite LP52の課題図書「ベテラン営業マンと若手Web担当者がコンビを組んだら?」を読んだよ

2017/07/14 14:08 | Bookレビュー

前回 に続きCSS Nite LP52「ウェブサイト制作、手を動かす前に考えておくこと」の課題図書 のレビューです。

今回は「ベテラン営業マンと若手Web担当者がコンビを組んだら? 」という本です。ウェブを活用したマーケティングを実施するにあたり、組織で求められることが物語でわかりやすく説明された本です。すごく良く出来たストーリーで詳細もうなずけるものが多く、自分も組織でもっと頑張らねばと思わされました。

ちょっと余談になりますけど、Hubspotの宣伝になってしまっている部分は、ちょっと趣旨とはずれている気がして残念でした。まんまと術中にハマって使ってみたいと思わされましたが。既存のシステムや組織体制などの様々な事情を考えると、新しいシステムの導入は簡単じゃないんですよね。実際、マーケティングオートメーションのツールを導入したいと思って調べたことがあるんですけど、なかなかハードルが高かったです。どうやってそういったところを地道に解決していけるかが、組織の真の課題だったりするんですけどね。

やっぱり「当たり前」が難しい

前回レビューした「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策 」と同様に、よく考えてみると当たり前のことが実は一番難しいということが、この本の根底にあるメッセージだと感じました。

ベテランの営業マンが昔ながらの営業手法では成果をあげらなくて困っている一方で、ウェブ担当は自分なりにデジタル・マーケティングの勉強をして営業に貢献しようと試行錯誤をするものの、なかなか成果につなげられない。昨今の環境変化についていけない営業マンと営業や組織体制をあまり理解していないウェブ担当。彼らがタッグを組んで試行錯誤して最終的には成果を出すという成長物語になっています。

組織でよくあるシチュエーション

例えば、以下のようなシチュエーションって、組織では本当によくある話ですよね。

  • どの部署の担当者もそれなりに考えていろいろ頑張っている。でも、どこかで空回りしてしまう
  • ちょっとしたすれ違いで意思疎通がうまくいかず、なかなか協力体制や相乗効果を生む協働体制が築けない
  • 手法は間違ってはいないけど活用方法がづれていて成果に繋がらない

こういったことが物語のエピソードを通して具体的に上手に再現されています。自分の経験と照らし合わせても、「そうなんだよねぇ」「そうそう、本当にそんな感じ」というふうに思うものも多く、登場人物たちに感情移入して不覚にも最後の方はほろっときて泣きそうになっちゃいました。笑

まとめ

こんなふうにできたらいいなのになぁと思える理想的な話ではあるものの、現実はこんなに甘くはないと思ってしまう内容でした。ただ、その反面、そんな心の壁を打ち破って実行さえすれば、意外と出来るのかもなと自分自身の状況を振り返って反省させられる内容でもありました。社内政治とか権力争いとか人間関係とか、いろいろ考えると、かなり厳しいなぁというのもありますけど、それを越えられてなんぼだとも思うので。そして、それができない組織が多いからこそ、そこが強みになるんだろうなぁと考えています。

以上、「ベテラン営業マンと若手Web担当者がコンビを組んだら? 」のレビューでした!

Enjoy learning new things!

CSS Nite LP52の課題図書「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?」を読んだよ

2017/07/07 7:15 | Bookレビュー

7月15日(土)に開催されるCSS Nite LP52「ウェブサイト制作、手を動かす前に考えておくこと」 に参加する予定なんですが、珍しく課題図書 が3冊ほど出されていたので真面目に読み進めています。当日までには3冊とも目を通しておきたい。

まずは一冊目。

なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策 」を読んだので簡単なレビューを書いておきます。

「当たり前」が一番難しい

ウェブサイトを活用したマーケティングについての基礎が包括的にまとめられた良い本です。入門的な内容で、ウェブやデジタル・マーケティングの経験がある方には物足りないかもしれません。ただ、書いてあることは「当たり前のこと」でも、実はその「当たり前」をしっかりやるのが一番大変だったりするので、自分たちがやっていることを振り返って、基本に立ち返って見直すのに役立つ内容だと思いました。

また、基本的かつ大切なことがすごく丁寧にわかりやすく書いてあるので、ウェブ担当者以外の人たちにウェブについての理解を深めるための教科書としても使えると思いました。

根本の理解と基本のキ

内容を3点に絞って、ものすごくざっくりまとめてみます。この本を読んで受け取った主なメッセージは以下の3つでした。

1. 選択と集中をしてやることを絞ろう

やれコンテンツマーケティングだSNSマーケティングだと、やれることは沢山あるけど、流行りに飛びつくんじゃなくて、最大の効果を生み出すことにリソースを集中するように戦略を考えしましょう、ということが書かれています。この前のUSJのマーケティング入門でも似たようなことが書かれていました。どこにフォーカスするべきか判断が難しい時はありますけど、効果が高い、確率が高いものを見極めて集中して、やるとなったら効果を最大化するよう戦術を考える。その繰り返しですね。

2. ユーザのことを深く知ろう

ちゃんと調査して、ユーザのことを深く知ろうよ、ということが書いてあります。ユーザインタビューなどの調査をやって「自分が思うユーザのためになること」ではなくて「ユーザが本当に求めていること」を探りましょう、と。まさに、その通りです。わかっているつもりでも、実際にユーザに話を聞いたり、ユーザの行動を見ると驚かされることが多くあります。あと、ユーザの行動も時間とともに変化していくので定期的に確認したいところです。

3. ウェブサイトへの集客についての考え方を見極めよう

SEO、リスティング広告、コンテンツマーケティングについて、ユーザ調査の結果をベースにユーザ目線でそれぞれの施策を行えば、効果が出せる、といったことが書いてあります。戦略的に効果を発揮できるようにやりましょう、と。

例えば、SEOについては「ユーザにとって価値あるサイトが上位に表示される」という根本を理解して、「SEO対策」をするのではなくユーザから見て価値あるサイト(コンテンツ)を作りましょう、ということが書かれています。キーワード調査についてもわかりやすく説明されていて、特にこの辺はウェブ担以外でコンテンツを作る人たちに読んでもらったら効果的だと思いました。ウェブ担当者だけではコンテンツは作れないですからね。

まとめ

他にも、リスティング広告について、広告だけで成果を出そうとするのではくユーザ体験全体を考えて成果を上げることを考えましょう、とか。顧客視点からユーザが困るであろうことを先回りして案内する「ガイドコンテンツ」を作るとか。さらにはサイトの設計についても大切な考え方がコンパクトにわかりやすくまとめられていました

僕も長い間ウェブサイトの運営をしていますが、頷ける内容がたくさんありました。流行に流されて、うわべだけの施策を繰り返すのではなくて、根本を理解して大事な土台を築くことで、次に繋がる施策を考えられるように、積み上げていけるようになります。最新情報とかテクニックを知るのも大切ですが、根本を理解することや考え方を学ぶことのほうが重要だと、僕は考えています。そういった意味でも、なかなか良い本だなと思いました。

以上、「なぜ、あなたのウェブには戦略がないのか?3Cで強化する5つのウェブマーケティング施策 」についての簡単なまとめと感想でした。

CSS Nite LP52に参加される方々、当日はよろしくお願いします。なにを?笑

残りの2冊については、また後日!

Enjoy reading!

「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方」から学べる2つのこと

2017/06/29 5:52 | Bookレビュー

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)には行ったことがなくて「TVでよく目にするようになったなぁ、いろいろコラボ企画が盛りだくさんで面白そうだなぁ」と思っていたくらいでした。あと、TV番組で森岡さんが出ているのを見たことがあって、すごい実績を打ち出した方だなぁとは認識していました。

そんななか、なにかのきっかけで目にしたのが森岡さんの「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 」という本でした。タイトルを見て「確率思考」というところに興味をそそられました。面白そうだなぁと思ってAmazonでレビューを見ながら購入を検討していた際に、先に森岡さんの前著「USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 」を読んだほうが良さそうだと思い、こちらを買って読んでみました。

どんな本?

この本のプロローグにも書かれているのですが、この本は2部構成になっていて、前半はマーケティング思考の必要性とその手法、後半はマーケターというキャリアについて、特にこれから就職を考える大学生向けに書かれた内容になっています。前半の内容はマーケティングを体系的に学んだことがない僕にはすごく参考になる内容でしたし勉強になりましたが、後半については内容的にターゲットとなる読者層に当てはまらないので、さーっと流し読みしました。

ということで、今回のブックレビューは主に前半部分の内容についてになります。僕がこの本から学んだことで最も重要だと思ったことを2つだけ厳選してご紹介します。

消費者視点の大切さと難しさ

まずはじめに、これ。

僕はウェブサイトの制作をはじめたころから、ユーザを中心に考えてものごとを進めることに慣れ親しんできましたが、世の中の人々は意外とそうでもない、というかそういうふうに考えられる人が少なかったりするんですよね。特に組織では。

「ゲストが本当に喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致しないのです。(p.29)

ここを心から理解するのってすごく大切で、そんなの当たり前と思っている方でも、もう一度、振り返ってみて本当に真のユーザ目線で考えられているか、製品やサービスがユーザが本当に喜ぶものになっているか問いかけてみるべきだと思います。

ただ、組織ではこれがすごく難しくて、僕も日々そういったことに悩まされ、逆にそこを解決すべく奔走しています。というのも、そこが解決できれば他にはない強みになると強く信じているからです。すんごい大変で何度も心折れまくるんですけどね。

粘り強い性格なので。。。いまのところは。

会社という組織が消費者視点で一致団結することは、自然状態では困難だと私は考えています。大きな組織になればなるほどそれは難しい。その理由は、会社というたくさんの人が集まっている集団の中では、会社の利害と個人の利害が必ずしも一致しないからです。 (p.33)

まさにこの指摘の通りで、組織で働いていると個人の利害とか思いみたいなものが強すぎることってよくあるなぁと思います。そのせいで製品やサービスが外に出て行くころには独りよがりのものになってしまっているケースを見かけます。大企業の製品やサービスでも「は?そんなの誰も欲しくないよ」と思わされるものを、たまーに見かけますよね。残念ながら。

社内政治とかパワーゲームみたいなのがユーザ目線から遠く離れたところで行われていて、大切な判断に影響してくるんですよね。大きな決断が必要な時に、そんな「社内政治」に入っていかざるを得ない場合もあるんですね。避けて通れない状況になる時がある。そんなことに大切な時間を費やしているなら、成果をあげるために皆で協力し合って働けたら、どんなに素晴らしいし楽しいか。ちょっと考えればわかることなんですけどね。状況が真っ当な判断を狂わせるんですね。

こういった企業の独りよがりな製品やサービスでも、たまたま当たることはあるんでしょうけど確率は低いし再現性が低いから、PDCAのサイクルを作ってさらに上を目指すのが困難になります。当たるか当たらないかわからない確率が低いものにお金と時間をかけていては経営は成り立たないですし。働く人たちのモチベーションも下がります。

だいぶ話が逸れてしまいましたが、結局、どんな仕事でも成功の確率を上げられるように自らを鍛錬するというのが、すごく大切だと改めて感じさせられました。